(前回から続く)

 「CEATEC JAPAN 2008」には,技術の横展開や異業種との連携によって,新たな価値を生み出す提案が数多く見られた。デジタル家電の今後を模索してきた機器メーカー各社に,いくつかの方向性が見えてきた。

 テレビ関連では,3次元ディスプレイに関する展示が相次いだ。その代表が,パナソニックの「3D フルHDプラズマ・シアターシステム」だ(01)。同社の103型PDPテレビと液晶シャッター搭載メガネを組み合わせ,1920×1080画素で60フレーム/秒の3次元映像を見せる。

 ソニーとシャープは今回のCEATECで,LEDバックライトを搭載し,薄型化と高画質化を両立したテレビを発表した(02)。ごく限られた製品でしか採用例がなかったLEDバックライトも,離陸する時期が来たようだ。

 画質向上を狙う別の方法論として注目を集めたのが,超解像技術である。画像処理によって映像の詳細感を高めるもので,東芝と日立製作所がそれぞれ披露した(03)。DVDやデジタル・ビデオ・カメラで撮影したSDTV映像を,フルHD対応のテレビで見るといった状況を想定する。

 テレビのネット利用も一段と本格化した。TSUTAYA BBが展示したのは,HDTV映像をダウンロード配信するサービス(04)。2008年12月にアクトビラの中でサービスを開始するとした。購入した動画は期間無制限で視聴できるほか,DLNA経由の家庭内機器への配信や,Blu-ray Disc媒体などへの書き出しも予定する。一方ヤフーは,テレビに「Yahoo!動画」のコンテンツを配信する実験サービスを,シャープ,日立製作所,東芝のブースで見せた。

(01)パナソニックは103型PDPテレビを使い,フルHDの3次元映像を披露した (02)ソニーはLEDバックライトをパネルの4辺に配置して厚さ9.9mmの液晶テレビを実現した (03)入力画像を超える解像感で表示する東芝の超解像技術 (04)TSUTAYAはアクトビラ向けダウンロード・サービスを披露
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