(前回から続く)

 デジタル民生機器市場を発展させる「次の一手」は何か。「CEATEC JAPAN 2005」で来場者の注目を集めたのは,家電や部品メーカーが展示した,さまざまな要素技術だった。

明るくなったSED

 テレビ向けの技術では,パネルやバックライトの性能をアピールする展示が目立った。2005年8月から少量生産が始まったSEDパネルは今回,3台の36型パネルを,リビング・ルーム相当の明るさの環境で展示した。前回の試作品より,輝度を430cd/m2,明所コントラスト比を200対1に高めた(01)。さらに,2006年春に市場投入予定の55型パネルを,映像を表示させずに展示した。

 会場で最も積極的なアピールを行ったのがPDPである。各社が参画する次世代PDP開発センターのブースで2~4年後の実用化を目指す高発光効率技術の開発成果を公開した。各PDPメーカーは2006年の製品化を目指す50型超の「フルHD」(1920×1080画素)品を初披露した(02)。

 液晶テレビ向けLEDバックライト技術は,日本ビクターとシチズン電子が出展した(03)。シチズン電子のLEDバックライト・モジュールは照明用白色LEDを応用した。画面輝度6000cd/m2時の消費電力は210Wで,主流の冷陰極蛍光管(CCFL)に性能を近づけた。携帯電話機向けの燃料電池も開発の活発さがアピールされた。KDDIと共同開発を進めている東芝と日立製作所が実際に動作する試作品を展示したほか,NTTドコモと組む富士通研究所がモックアップを展示した(04)。

(01)東芝とキヤノンの合弁会社SEDは輝度とコントラスト比が向上したSEDパネルを展示した (02)PDPメーカー各社はそれぞれ1920×1080画素のパネルを初めて披露した。写真はパイオニアの50型 (03)シチズン電子が出展した40型パネル向けLEDバックライト・モジュール (04)KDDIが展示した燃料電池搭載の携帯電話機(東芝製) (05)NTTドコモが展示した,4Mビットの赤外線通信「IrSimple」搭載携帯電話機の試作機
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 赤外線通信のデータ伝送速度を約4Mビット/秒まで引き上げることを狙う新規格「IrSimple」の実演もあった。NTTドコモとロームがそれぞれ,試作機などを公開した(05)。IrSimpleは,接続プロトコルの簡素化やバースト転送を導入するなどして,赤外線通信の転送時間を短縮する。200万画素のカメラで撮影した容量約500Kバイトの画像ファイルのデータ転送に要する時間は約1秒という。