(前回から続く)
2003年の主な出来事

 「CEATEC JAPAN 2003」の会場には,携帯電話機とデジタル家電の次世代を狙う開発品がズラリと並んだ。国内エレクトロニクス産業全体の生産金額を,2003年に入って増加に転じさせるのに大きな役割を果たしたこれらの機器に寄せる期待は,出展者,来場者の双方とも高かった。

PS2を録画機に

 今回のCEATECでは,2005年ごろの開始を予定する地上デジタル放送の携帯機器向けサービス(1セグメント放送)に向けた開発品が目立った。会場で一番注目を集めたのは,1セグメント放送の受信が可能な携帯電話機の試作品を展示した三洋電機(01)。会場で実際に放送波を送信し,それを受信する実演を行った。

 1セグメント放送向けに,松下電器産業は松下電子部品と共同開発したチューナー・モジュールを搭載したカード型アダプタと,映像ビューワの試作機を出展した。部品の展示も増えた。村田製作所やシャープ,アルプス電気がチューナー・モジュールの開発を明らかにしたほか村田製作所や太陽誘電は,アンテナやフィルタを出展した。

 録画機関連では,ソニーがCEATECに合わせて発表した「PSX」が大きな注目を集めた(02)。傘下のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のゲーム機「プレイステーション2(PS2)」向けLSIを流用してHDD/DVD録画機に仕立てた製品で,2003年4月にソニー本体の執行役 副社長に就いたSCE社長兼CEOの久多良木健氏の肝いりのプロジェクトである。

 青紫色レーザ光源を使う次世代光ディスク録画機は今回,様変わりした。単なる技術展示ではなく,製品化を意識した試作機を各社が一斉に披露した。Blu-ray Disc陣営は2003年4月に対応録画機を発売したソニーに加え,松下電器,日本ビクター,パイオニア,シャープの4社が試作機を披露した(03)。HD DVD陣営は東芝が再生機,NECが記録再生装置を披露した(04)。

(01)1セグメント放送受信機能を備える,三洋電機の携帯電話機の試作機 (02)PS2を基にしたソニーのHDD録画機「PSX」 (03)松下電器が展示したBlu-ray Disc録画機の試作品 (04)NECが展示したHD DVD記録再生装置の試作品 (05)三菱化学メディアが展示した片面2層のDVD+R媒体の試作品
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