2001年の主な出来事
(前回から続く)

 「CEATEC JAPAN 2001」は,米国のITバブルの崩壊や, 直前の9月11日に米国で発生した「同時多発テロ」といった逆境の中で開かれた。ところが,メーカー各社の展示は活気にあふれ,5日間で15万8830人の入場者を集めた会場は熱気に包まれた。

 圧倒的な集客力を見せつけたのは,大型有機ELパネルや,DVDの次世代を狙う録画機だった。5GHz帯を使う無線LANや,携帯型ビデオ表示端末なども話題を呼んでいた。

久しぶりに「テレビ」に活況

 展示会のスタートと同時に人が押し寄せたのは,ソニーが参考展示した動画表示が可能なアクティブ・マトリクス方式有機ELパネルである(01)。展示されたのは13型と10.2型で,それまで発表された有機ELパネルの中でダントツに大きい。厚さはわずか1.4mm。800×600画素で画素ピッチ0.33mm× 0.33mm,輝度300cd/m2以上である。同社は早ければ2003年にも実用化すると説明していた。

 液晶パネルやPDPなどを搭載したテレビの展示にも人だかりができた。パイオニアは,発光効率1.8lm/Wを達成した50型と43型のPDPを展示した(02)。シャープは2001年11月に発売する30型の液晶テレビ「AQUOS」を展示し,2002年からは液晶パネルの外販を始めると明らかにした(03)。

 HDD内蔵セットトップ・ボックス(STB)を使った蓄積型放送「epサービス」が話題になったのもこの年である。松下電器産業と東芝が中心になって立ち上げたこのサービスは,独自ブースを設けてアピールした。epサービスは,翌2002年春の放送開始を目指していた。

5GHz帯無線LANで動画像

 この年のCEATECで,もう一つの主役を演じたのは録画機である。DVDの次世代を狙う光ディスク装置の試作機を,シャープ,ソニー,TDK,パイオニア,日立製作所,松下電器の6社が展示した(04)。

(01)ソニーが展示した13型のカラー有機ELパネルの試作品 (02)パイオニアは発光効率が1.8lm/Wと高い50型のPDPモジュールを展示 (03)シャープは30型の液晶テレビを発表 (04)ソニーの「DVR-blue」試作機 (05)松下電器の20万円を切るDVDとHDDの複合型レコーダー
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 松下電器が,片面2層,総容量50Gバイトの書き換え可能なディスクとその再生デモを披露するなど,技術的な進展もアピールされた。松下電器はまた,実売価格10万円を切ったDVD録画機や,20万円を切るHDD/DVD複合型録画機を展示し,これらの普及を加速する方針を示した(05)。シャープやパイオニアなども追随する意欲を見せた。