一方で,Micro仕様ではUSB 2.0のMicro仕様のコネクタと,USB 3.0用の小型コネクタを横に並べた構造を採るタイプも用意した(図1(d))。ヒロセ電機や台湾Hon Hai Precision Industry社,ミツミ電機などが対応コネクタを試作済みである。

8倍速でBDに書き込み可能に

 高速性のほか周辺機器メーカーが期待を寄せるのが,供給電流の増大である。供給電流は900mAと,USB 2.0に比べて1.8倍に高めている注2)。電圧は5Vのままだ。以前からUSBの供給可能な電流値を高めてほしいという声が多くあったが,これによって,「より多くの種類の周辺機器を駆動できる」(アイ・オー・データ機器)という。

注2) 充電に向けた拡張仕様「Battery Charging Revision 1.0」の場合,供給電流を最大1800mAにできる。

 例えば携帯型光ディスク装置であれば,「DVDで24倍速,Blu-ray Discなら8倍速の書き込みが可能になる」(バッファロー)という。以前の供給電流値のままでは,DVDで20倍速程度が限界だった。

 USBでつなぐだけで駆動できる小型液晶モニターの大きさも,現行仕様では「7~8型が限度」(アイ・オー・データ機器)だが,供給電流の増大により,「10.1型を駆動できるだろう」(同社)とみる(図3注3)

注3) USB 3.0における供給電流の増加に関しては,まだ十分でないという見方もある。「これでは15型以上のメイン・モニターまでは駆動できない。もう少し高い電流値になると期待していたので,その点では少々ガッカリしている」(ある液晶モニターの製品企画者)。

図3 供給電力の増加で,より多くの周辺機器を駆動
図3 供給電力の増加で,より多くの周辺機器を駆動
USB 3.0では,USB 2.0に比べて周辺機器に供給できる電力が増加した。データ伝送しながら5V,900mAを給電できる。

 USB 3.0対応の周辺機器は,早ければ2009年のクリスマス・シーズンに発売される予定である。最初の製品として有力視されているのが,外付けHDDである。

 ただし,USB 3.0対応の周辺機器が出始めるころは,まだホスト側であるパソコンがUSB 3.0に対応していない場合があり得る。そこで,デスクトップ・パソコン向けのインタフェース・ボードや,ノート・パソコン向けの拡張カードも多数登場するだろう。続いて2010年春ごろには,外付けできるUSB 3.0対応の携帯型光ディスク装置が登場しそうだ。