Androidマーケットについては,まず何ができるかを説明し感想を聞いた上で,時間に余裕があればソフトウエアのインストールまで実施してもらった。評価時点で日本語のアプリは少なかったが,国内市場向けの既存の携帯電話で利用できるアプリ環境と比べて,分野別に分類され,個々の分野に相当数のソフトがあることに驚くモニタが多かった。今後は日本語アプリの充実およびユーザー層の拡大がAndroidマーケットの発展の鍵になりそうである。なお,長期評価のモニタは,数多くのアプリをダウンロードして試していた。

欲しい度はかなり高い

 タスクを全て終えた後,参加モニタ全員に最終的な購入意欲と「欲しい度」を尋ねた。あくまでも参考程度の値ではあるが,購入意欲は「すぐにでも買いたい:5」~「興味を持てず,買う気にもならない:1」とした尺度で評価してもらった結果,9人の平均で3.4だった。「もう少し様子をみたい:3」と,「すぐにではないが,いつか買いたい:4」の間の値である。欲しい度は,「すぐにでも欲しい:5」~「興味を持てず,欲しいとも思わない:1」として平均4.3。「すぐにではないが,いつか欲しい」の4を上回る結果になった。

 昨年のiPhone 3G,今年のiPhone 3GSの評価でも同様の質問をしており(3Gは「購入意欲」のみ尋ねた),3G→3GSで着実にユーザーによる受容性は向上している。単純に比べることはできないが,iPhoneの例でいうと,発売直後の3Gは斬新なUIに対する評価は高かったものの日本語入力時の反応が悪く,Webブラウザが頻繁に落ちるなどの欠点があった。しかしこれらの欠点は数回のOSアップデートや最新機種の3GSでほぼ克服された。その結果が受容性の向上に繋がっており,今回iPhone 3GSの長期評価に参加したモニタは,評価が終わった日に自ら3GSを購入しに行ったという。類推すると,日本市場ではiPhoneに一年遅れたAndroidケータイも,今後のアップデートによって次第に弱点が克服され魅力が増していくと予想できる。しかも今後複数のメーカーからさらに魅力的な端末が発売されることも期待され,そのスピードはより速いかもしれない。

自由度の高さと分かりにくさは裏腹

 最後にAndroidケータイとiPhone 3GSのUIを比較してみたい。それぞれを一言で表現するなら,iPhoneの特徴は統一性,Androidの特徴は多様性と呼べそうだ。

 iPhoneと比べたAndroidケータイの特徴は,操作の自由度が高いことである。タッチパネルと「ホーム」ボタンくらいしかないiPhoneに対し,Androidケータイは一般的にタッチパネルに加えてトラックボールや5~6個のボタンを備える。さらに海外市場向けでは,物理的なキーボードを備えるものもある。ユーザーはこれらをうまく使い分けることで,快適な操作を実現できる。例えば,画面を大きくスクロールするときにはトラックボール,画面に表示された項目を選ぶときはタッチパネルといった具合である。初見時に,意図的にこのような使い分けをすることは難しいが,長期評価のモニタは使っていく中で効率的な使い分けを体得していた。