NTTドコモが2009年7月に発売した国内初のAndroidケータイ「HT-03A」の使いやすさについて,既存の携帯電話ユーザーに実際の端末を使ってもらって評価した。その結果,ユーザー・インタフェース (UI)にはユーザーが使いづらいと感じる点が見受けられ,改善の余地が残ることがわかった。そのいくつかは,操作上の作法(操作モデル)が日本の携帯電話機と異なることに起因しており,慣れるまでに少々の時間を必要としそうだ。一方で,実際に使ってみた後のユーザーの購入意欲や「(モノとしての)欲しい度」は,どちらもやや高めの水準だった。2008年7月の「iPhone 3G」発売直後に当社で実施した同様の評価結果と比べても,ユーザーの受容性としてはほぼ同程度である。ただし,現時点ではiモード利用に制約があったり,ワンセグ端末や「おサイフケータイ」として使えないことなどが影響し,今のところは携帯電話というよりもパソコンに近い「2台目」として考えるユーザーが多いようだ。
Androidの標準UIを評価する
今回の評価の主眼は,「HT-03A」そのものというよりも,米Google社などが開発する携帯電話機向けソフトウエア・プラットフォーム「Android」の使いやすさを調べることにある。Androidは,携帯電話のみならず各種デジタル家電への応用が期待されているソフトウエアである。HT-03Aに搭載されているAndroidは,標準で用意されているUIにそれほど手を加えていないと言われている。今回の評価結果を参考に,Androidを用いながら,より使いやすいUIを設計することは十分可能だろう。
今回の評価には,既存の携帯電話機のユーザー9名に被験者(以下,モニタ)として参加してもらった。男性が7名,女性が2名である。Androidケータイの大きな特徴は米Google社のサービスとの連携なので,既にGoogle社のサービスを利用しているユーザーを探した。Google社のメール・サービス「Gmail」を多少使う程度のユーザー(Googleライトユーザー)4名と,数々のGoogleサービスの利用度が高いユーザー(Googleヘビーユーザー)3名に加え,米Apple社の「iPhone」と比べてみるため,iPhoneユーザーも2名呼んだ。この2名もGoogle社のサービスを活用している。