日本のケータイと作法が違う

 ユーザーがAndroidケータイの操作に迷う大きな原因が,日本の携帯電話機と作法が異なる部分があることだ。これまで慣れ親しんだケータイの常識に従って操作しようとして間違ってしまう場合がいくつかあった。

 端的な例が,電話機を立ち上げた状態で表示される「ホーム画面」に戻ろうとして,「終話キー」を押してしまう例である。Androidケータイでは,どの画面からでも「ホーム画面」に戻れる「ホーム」ボタンがある。ところが日本の携帯電話機では,ホーム画面に相当する待受画面に戻るには,通話を終える「終話」キーを押すのが普通である。このためモニタの何名かは,ホーム画面に戻るつもりで終話キーを押して,画面表示を消してしまうという誤操作を繰り返していた。このほかにも,入力した文字を消すために「クリア」キーのつもりで「戻る」キーを押す(正しくはソフトウエア・キーボードのdeleteキーを押す),といった誤操作が観察された。


キーの作法が日本のケータイと違う
キーの作法が日本のケータイと違う
HA-03Aの物理的なキーの配置。日本の携帯電話機と同様のボタンがあるが,用途が必ずしも同じではないため,誤操作を引き起こす要因になる。

慣れる操作,慣れない操作

 今回の評価では,これらの他にも様々な問題点が見つかった。だからといってAndroidケータイが非常に使いにくいというわけではなく,他の製品でも同様な評価をすると多くの問題点が見つかることが普通である。こうした点のいくつかは,ユーザーが初めて端末に触れたことによる。目新しい操作のため最初は戸惑うが,一度覚えてしまえば次からは全く問題なくなるものも多い。

【意表を突く操作はすぎぐにはできない】画面上端のステータス・バーを下に引き下げると,各種の通知内容が表示される。この操作は馴染みがないので,ほとんどのユーザーが最初はできない。
意表を突く操作はすぐにはできない
画面上端のステータス・バーを下に引き下げると,各種の通知内容が表示される。この操作は馴染みがないので,ほとんどのユーザーが最初はできない。
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 その一つと言えるのが,先述した「通知パネルでメールを確認する」操作である。Androidケータイでは,メールを受信すると画面上端の「ステータス・バー」にメールが来たことを示す「@」マークが現れる。そのメールの送信者や受信時刻を簡単にチェックできるのが通知パネルの機能で,ステータス・バーを下に引きずりおろすように指で操作すると現れる。ところが,このような操作は他の携帯電話機で例がなく,今回の評価ではモニタ9人のうち1人しかタスクを完了できなかった。しかし,一度分かった後は,つまずくユーザーはいなくなった。

 このような新規のルールは比較的慣れやすいと言える。それに対して,身に染みついた操作を変更することは困難な場合が多い。前述の「終話」キーの例がそれで,Androidケータイの長期評価に参加してもらったモニタの一人は,約2週間使った後も相変わらず間違えていた。ただしこれには個人差があり,ユーザーによってはすぐ慣れてしまう人もいる。

―― 次回へ続く ――