9名には,指定した作業を実際の端末で実行してもらった。実施した作業(以下,タスク)は,電話をかけて連絡先を登録する,カレンダーに予定を入れる,Gmailを使ってメールを送信する,地図を閲覧する,などである。所要時間は合計で一人あたり約90分。評価を始める前やそれぞれのタスクを終えた後に,製品に対する「購入意欲」(購入金額や維持費,キャリア等の条件を勘案して)と「欲しい度」(前述の条件を踏まえず,あくまでもモノとしての所有意欲)をそれぞれ数値で表現してもらい,どのように変化するかも追った。評価は,HT-03Aが発売された直後の7月半ばに実施した。


ハーフミラーや動画で実験の様子を観察
ハーフミラーや動画で実験の様子を観察
今回の評価は,当社のユーザビリティ・ラボで実施した。実験室でモニタが評価機を操作している様子をハーフミラー越しに隣室から観察できる。操作する手元の様子はビデオで撮影し,分析に役立てた。

 この評価に引き続き,モニタ2名に実機を貸し出して約2週間にわたって使ってもらい,使用感を日記形式で報告してもらう長期評価も実施した。その結果の一部も併せて報告する。

 以下では,評価で分かったAndroidケータイのユーザビリティ上の問題点,モニタの評価が高かった部分,iPhoneとの比較について順次紹介していく。評価結果の詳細は,当社が販売するレポートを参照していただきたい。

UIはまだまだ荒削り

 今回の評価では,タスクの多くをモニタは多少迷いつつも達成することができた。人によってはヒントをもらっても実行できなかったタスクがあったが,それほど多くはない。ほとんどのモニタが達成できなかったタスクは一つだけで,「通知パネルでメールを確認する」というものである。しかし後述するように,これは馴染みのない作法に従う必要があるためで,一度知ってしまえば大きな問題はないと見られる。

 一方で作業中にユーザーが戸惑ったりしくじったりする,操作面での問題がいくつか見つかった。その原因の一つは,Androidが発展途上のソフトウエアであることに起因すると言えそうだ。Apple社のiPhoneも,一年前に登場した当時の「3G(OSは2.0)」と最新機種である「3GS(OSは3.0)」を比較すると大幅な改善がみられる。登場したばかりのAndroidが現段階で荒削りなのはある程度仕方のないことかもしれない。