小型化は2009年11月に開始
総務省の見直し議論と並行して,「青カード」と呼ばれる地デジ専用のB-CASカードの小型化が,2009年内に実現しそうだ。カード発行会社のビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(ビーキャス)は「車載器やパソコンの大手メーカーなどから要望を受けた」ことで,2008年10月にカードの規格の見直しを本格化させた。その後,2009年3月18日に電波産業会(ARIB)で,新規格が採択された(図3)。「2009年11月に,メーカーに対して支給を開始する」(ビーキャス)という。
規格に追加されたのは,B-CASカードの形状と供給電圧の変更。携帯電話採用のSIMカード†と同じ形状と供給電圧が選べるようになった。SIMカードと同じ形状にしたのは「カードのソケットをSIMカードと共通化した方が,開発や製造のコストが小さくなるため」(ビーキャス)。一見異なる電極の設計も,「形状などがメーカーによって違うだけで,規格はSIMカードと同じISO 7816に準拠する」(同社)という。
†SIMカード=subscriber identity module card。携帯電話事業者がユーザーの契約情報を識別するためのカード。携帯電話機に挿入して利用する。
このため,将来的には1枚のカードにB-CASカードとSIMカードの機能を統合できそうだ。これについてビーキャスは,「機能の統合は新規格の策定過程で想定していない。最近は電話番号を複数使うためにSIMカード・ソケットを複数備えた携帯電話機もあり,統合しなくても困らないのではないか」と説明する。一方で,「統合を禁止したわけではない」(同社)ともいう。大日本印刷は既に,両機能の1枚のカードへの統合について特許を取得済み。NHK放送技術研究所も「統合は物理的・技術的には可能」とする。
一時は「スクランブルなし」も議論
誰もが変えたいと思っていながら,B-CAS方式の見直し議論がなかなか進まなかったのは,関係者の思惑がそれぞれ異なるためだ。方向性が決まりかけるたびに,反対する意見が出てきてしまう。