動き対策が練られたリモコン

 3軸加速度センサを搭載してリモコンの動きを検知する機能を持ったコントローラ「Wiiリモコン」は,Wiiの目玉の一つである。その内部にも新しいコントローラならではの工夫が幾つか見られる(図4)。

【図4 激しく動かすことを前提に設計されたWiiリモコン】ゲームの操作のためコントローラを動かすのが前提なので,ユーザーによる激しい扱いにも耐えられるようにする配慮が見られる。本体には米Analog Devices社の3軸加速度センサが使われている(a)。コントローラに有線で接続して使う「ヌンチャクコントローラ」では伊仏合弁STMicroelectronics社の3軸加速度センサを採用した(b)。ユーザーがコントローラを激しく扱っても電池が接触不良を起こさないように,電池の負極側をバネの力で押さえる構造の電極を採用した(c)。万が一,電池が電極から浮いても回路への電力供給が途絶えないように,3300μFと比較的大きな容量の電解コンデンサを搭載した(d)。
図4 激しく動かすことを前提に設計されたWiiリモコン
ゲームの操作のためコントローラを動かすのが前提なので,ユーザーによる激しい扱いにも耐えられるようにする配慮が見られる。本体には米Analog Devices社の3軸加速度センサが使われている(a)。コントローラに有線で接続して使う「ヌンチャクコントローラ」では伊仏合弁STMicroelectronics社の3軸加速度センサを採用した(b)。ユーザーがコントローラを激しく扱っても電池が接触不良を起こさないように,電池の負極側をバネの力で押さえる構造の電極を採用した(c)。万が一,電池が電極から浮いても回路への電力供給が途絶えないように,3300μFと比較的大きな容量の電解コンデンサを搭載した(d)。
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 心臓部の3軸加速度センサは米Analog Devices, Inc.の製品を使い,「Aボタン」の横あたりに配置する。リモコンの重心より先端寄りで,中心軸からもずれている。これは3軸加速度センサだけで,リモコンをひねるような動きを検知するための工夫であろう。

 ゲームに夢中になってつい乱暴に扱うことを配慮して,電池ボックスにはコイル状のバネで電極を強力に電池に押し付ける機構を採用した。ゲームに熱中したユーザーが思い切り振り回しても,電池が電極から離れないようにするのが目的とみられる。さらに,万が一電池が電極から離れた場合に備えて,3300μFの電解コンデンサを用意して,瞬断を防ぐ。

 Wiiリモコンは画面を指し示すことでカーソルを動かすポインティング・デバイスとしても使える。この機能のためには,Wiiリモコン先端に取り付けた台湾Pixart Imaging Inc.のCMOSイメージ・センサを使う。センサのスペックは明らかではないが,Pixart社の製品ラインアップから見て,解像度はあまり高くなさそうだ。

 テレビ画面の上に設置する「センサーバー」は,両端にそれぞれ赤外線LEDを5個ずつ内蔵し,常時点灯させている。これを利用してリモコンが指す方向を検出する仕組みは,以下のようであると推定される。リモコンがテレビ画面の方向を向くと,センサーバーの両端の光点がイメージ・センサでとらえられる。二つの光点の位置と向き,間隔からテレビ画面に対するリモコンの向きや距離を見積もる。3軸加速度センサから得たリモコンの姿勢情報と併せて,画面にカーソルを表示する位置を決める。

 Wiiリモコンの基板にはこうした処理を担うマイクロプロセサは見当たらない。イメージ・センサや加速度センサが得た情報はBluetoothを通じてそのまま本体に送られ,ほとんどの処理は本体側で行っているはずだ。Bluetoothの通信帯域や,リアルタイム性が求められる処理の性質から考えて,イメージ・センサに一部の前処理を行う回路を組み込んでいる可能性がある。

―― 終わり ――