写真を見たくてケータイを買う
そんな読者がきっと現れる
清水清太郎事務所 清水清太郎氏
清水清太郎事務所 清水清太郎氏
1948年生まれ。女性タレントや女優を中心に撮影し,雑誌のグラビアや写真集に作品を発表する。1980年代には天地真理や川島なお美などの写真集の撮影も手掛けた。「週刊プレイボーイ」「週刊ポスト」などへの掲載のほか,最近はPDF形式で電子化した写真集をインターネットで販売する。シャープの「ケータイ電子書店 SpaceTown ブックス」などで,携帯電話機向けに有料コンテンツの配信も始めた。

 女性を撮影する僕らの仕事の軸足は,既に電子書籍に移っている。男性向けのあるグラビア誌の場合,紙の出版物よりインターネットに開設したWWWサイトのコンテンツ販売の方が売上高で上回っていると聞く。僕は1年~2年前まで,雑誌向けの撮影の合間に電子化するための写真を撮影していた。今ではそれが逆転して,インターネットで販売する作品の撮影の合間に,雑誌向けの撮影を済ませるほどだ。

 携帯電話機は,写真を表現するのに申し分ないところまで到達している。約26万色を表示できる液晶パネルであれば,女性の肌の色もきれいに写っている。これだけ表現できれば,十分楽しめるはずだ。コントラスト比が強過ぎて色が飛んでしまうこともない。

 携帯電話機のすごいところは「隠せる」こと。画面を手で覆ってしまえば,電車の中でも他人には何を見ているのか分からない。タブロイド版の夕刊紙や男性向けグラビア誌のいやらしいページは読みづらいよね。携帯電話機なら,他人にバレることなく1人の世界に入り込める。

 今,最も関心があるのは,3D(立体視表示)で楽しめる作品を携帯電話機に配信すること。何しろ2Dとは比べものにならない臨場感がある。僕が撮影した 3D対応のコンテンツを表現できる携帯電話機が登場したら,きっとコンテンツ見たさに携帯電話機がどんどん売れると思うな(笑)。

 インターネットにしても携帯電話機にしても,作品を発表する場が増えるのはうれしい。「2億台が普及している中国の携帯電話機向けに配信しないか」というお誘いも来ているほどだ。ただし過激すぎる作品は,通信事業者から「待った」がかかることもある。これがしゃくに障るんだけどね。(談)

―― 終わり ――