将来に向けた開発も相次ぐ

 次世代の電子ペーパーに向けた開発は,ここにきて一層盛り上がりを見せている。2005年12月6日~9日に開催されたディスプレイ関連の学会「IDW/AD’05」でも,将来の電子ペーパーを見据えた技術の発表が相次いだ(表2)。

表2 「IDW/AD’05」における電子ペーパー関連の主な発表例
表2 「IDW/AD’05」における電子ペーパー関連の主な発表例
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 例えば,フレキシブル基板上のTFTについても,さまざまな候補がしのぎを削っている。ガラス基板上のTFTをプラスチック基板に転写するという,セイコーエプソンの独自技術「SUFTLA」を利用したアプローチもその1つである。同社は,この技術を応用して,電子ペーパーだけでなくマイクロプロセサやメモリといった周辺技術の開発も進めている(図6)。こうした技術が確立されれば,さらに電子ペーパーの用途が大きな広がりを見せることになるだろう。

図6 周辺技術の開発が着々
図6 周辺技術の開発が着々
セイコーエプソンは,フレキシブルな電子ペーパーのほか,フレキシブルなマイコンやメモリ,指紋センサなどの開発を進めている(a)。いずれも,あらかじめ低温多結晶Si TFTガラス基板上に形成した回路を,プラスチック基板に転写する独自技術「SUFTLA」を利用している。これらの個別技術を統合させることで,フレキシブルな機器の実現を目指す。同社は既に,今回開発したフレキシブルなSRAMを,同じくフレキシブルな8ビット・マイコンの一時記憶領域として利用し,デモ・プログラムが実行できることを確認している(b)。

参考文献
2) 小谷ほか,「電子ペーパーが一歩前進,60万cd/m2の無機ELも」,『日経エレクトロニクス』,2005年11月7日号,no.912,pp.36-38.