電子ブックや携帯電話機,時計…。電子ペーパーを用いた機器が,次々と開発されている。これら機器の多くに電子ペーパーを提供しているのが,ベンチャー企業のE Ink社だ。同社で市場開発の指揮を執る桑田氏が,電子ペーパーと同社の今後,そして同社が現在の地位を築くキッカケとなったソニーとのプロジェクトを語る。
――電子ブックに続く電子ペーパーの新たな用途として,現在E Ink社が注力している分野は何でしょうか。
特にフォーカスしている分野といえば,新聞でしょう。つまり,電子ペーパーを利用した電子新聞です。ここ1年ほど,各新聞社の動きがかなり激しくなってきています。実際,我々はほとんどの日本の大手新聞社と既にコンタクトを取らせてもらっている状況です。この電子新聞という用途は,これからしばらくの間,我々としてもサポートを強化するなどして注力していくことになるでしょう。
もちろん,動いているのは日本の新聞社だけではありません。もともと,電子新聞に向けた取り組みは,ご存じのように米国の新聞社の方が早かったですから。例えば,米Hearst Corp.などが具体的な検討を進めています。あまり知られていませんが,Hearst社は我々にかなりの出資をしています。Hearst社としても,電子新聞事業にフォーカスしているのだと思います。米国のこうした動きが,最近になって日本や欧州の新聞社にも飛び火したといったほうが正しいでしょう。例えば欧州では,フランスLe Monde社などが少し動き始めたところです。