目的に応じたルートを選べる
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 IT部門賞を受賞したホンダの「インターナビ・ルート」は、燃料消費量の少ないルートや、ETCの割引を最大限に利用できるルートなどをホンダの純正カー・ナビゲーション・システム(カーナビ)に配信するサービス。2008年9月5日に部分改良した「レジェンド」に搭載するHDDカーナビから対応させた。旧型カーナビを使っている「インターナビ・プレミアムクラブ」の会員も、パソコンなどから利用する会員専用のWebサイトに入れば検索できる。

 新サービスの特徴は、サーバ側で目的地までのすべての対象道路に対して検索し、カーナビに配信してくれること。これまではカーナビの情報処理能力の問題などから、一定の範囲内の情報をサーバからカーナビに送信し、カーナビ側でルートを算出していた。そのため、出発地周辺と目的地周辺の検索は詳細に行うが、出発地と目的地との中間は主要道路の情報のみを用いてルートを算出していたという。これに対して、新サービスでは情報処理能力の高いサーバ側で算出するため、これまで対応できなかったようなルートを算出することができる。

 具体的には、(1)省燃費ルート(2)ETC割引ルート(3)最速ルート/最速一般道優先ルート(4)スマートルート(5)シーニックルート、の五つのルート配信を用意した。

ルートを確認する画面
ルートを確認する画面

 省燃費ルートは燃料消費量が最も少ないルートを案内する。これまで蓄積した走行データから各道路での加減速を割り出し、時間帯ごとの渋滞変化を用いて作成した燃料消費量のデータベースをサーバで管理することで、目的地までの渋滞時間を考慮しながら省燃費なルートを算出できる。これに加えて、部分改良したレジェンドからは実際の燃料消費量の収集を始めており、今後、より高精度な省燃費ルートを算出するための基礎データとして蓄積している。

 ETC割引ルートは、朝夕に実施している通勤割引や夜間の深夜割引をはじめ、期間限定の割引情報などをサーバで管理することで、目的地までの入り口や出口となるインターチェンジ(IC)の通過時刻を予測し、最大限の割引が適用となるルートを算出するというもの。ETC割引は利用時刻や利用可能な区間、利用区間の長さなどに複雑な規定があるが、ユーザーは一番得なルートの提供を受けることができる。

 最速ルート/最速一般道優先ルートは、高速道路を含めて最短時間で目的に到着できる「最速ルート」のほか、主に一般道路を通ることを対象とした「最速一般道優先ルート」を利用できる。これまではカーナビ側で算出するために対象道路に制約がかかっていたが、すべてのルート対象道路の交通情報を用いて検索するため、より速いルートを案内できる。

 スマートルートは、最速のルートをベースに時間と距離、ETC割引などを加味して、到達時間と利用料金の両立を図ったルートを案内するというもの。早く着きたいが、有料道路などの料金をなるべく抑えたいというユーザー向けとなる。

 一方、シーニックルートは、時期や時間帯、曜日、天気を考慮し、景色などに優れたルートを案内するというもの。具体的には、日本気象協会の気象情報や桜の開花情報、紅葉情報や、ぴあのドライブ情報などを利用して、「おすすめスポット」と「おすすめ道路」をカーナビに配信する。

 このほかホンダはパイオニアとプローブカー情報を相互に活用し始めるなど、リアルタイムの道路情報の精度を向上させるための新しい試みも開始している。(鶴原 吉郎=日経Automotive Technology)

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