1990年代半ばに人の身長を超えるような超大画面のフルカラー・ディスプレイを実現可能にし,そして2000年前後にはケータイの液晶画面のカラー化に貢献した高輝度青色発光ダイオード(LED)。その技術は青色レーザー開発の礎にもなり,その実用化がハイビジョン番組を録画できるBlu-rayを可能にした。赤色や緑色のLEDと組み合わせて様々な色を作り出せる高輝度青色LEDの行く手には,さらに,白熱電球や蛍光灯に取って代わる次世代省エネ照明の巨大市場が見えている。

高輝度青色LEDの開発には日本のグループが大きく貢献している。GaN LEDの研究段階では名古屋大学の赤崎勇教授(当時,現在は名城大学特任教授)のグループの研究が大きな成果を上げた。その後の実用化と高輝度化の段階では,日亜化学工業の中村修二氏(当時,現在は米University of California Santa Barbara校の教授)が大きな役割を果たしている。本連載では,中村氏がGaN系青色LEDの研究に着手し製品化にこぎ着けるまでの開発ストーリーを紹介した1995年1~3月当時の日経エレクトロニクスの記事を再掲載する。関連記事として最終回に,同誌が1995年5月8日号に掲載したGaN系青色LEDの発明についての記事を再掲載する。