半導体製造 プロセス技術や工場の動向を知るための
 

第3回:カメラの製造手法をMEMSで変える,半導体メーカーの事業領域に

加藤 伸一,三宅 常之=日経マイクロデバイス
2009/05/07 00:00
出典:日経マイクロデバイス、2008年7月 、pp.36-39 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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これまで人手や機械加工に頼っていた携帯電話機用カメラ・モジュールの組み立て・製造を,半導体メーカーが実施できるようになる。MEMS加工技術によって,低コストの高耐熱レンズと貫通電極,ウエーハ・レベル組み立てが量産レベルで利用できるようになったためである。現在は一部の工程に従来の加工が残っているが,将来的には,イメージ・センサーとレンズを含むカメラ・モジュールすべての製造工程を半導体メーカーが200~300mm径のウエーハ・レベルで実現できるようになる。

 携帯電話機用カメラ・モジュールのすべての製造工程が,半導体メーカーで実現できるようになる。レンズの製造や,モジュールの組み立て工程が,従来の機械加工や人手に頼った手法から,MEMS加工技術に置き換わるためである。しかも,200~300mm径のウエーハによるウエーハ・レベルでの一括処理によって低コストでの大量生産が可能になる。

業界地図が大きく変わる

 半導体メーカーの一貫工程となることで,カメラ・モジュールの業界地図はガラリと変わる。これまでカメラ・モジュールでは,そこに使うイメージ・センサー,レンズ,筐体といった部品をそれぞれ別に製造していた。主にイメージ・センサー・メーカーが,レンズや筐体などを調達して組み立てていた。あるいは,組み立てをアセンブリング・メーカーに委託していた。このため,カメラ・モジュール業界は,複数の業界の部品メーカーとモジュール化する企業が役割分担して成り立っていた。製造プロセスの半導体化によって,こうした役割分担から半導体メーカーがすべてをカバーする構造に変わる。

 これによって,半導体メーカーが単独でレンズ・ユニットまで製造し,すべての部品をウエーハ・レベルで組み立てる“ウエーハ・レベル・カメラ・モジュール”が,2009年にも登場する(図1)。ウエーハ・レベル・カメラ・モジュールは,まずは固定焦点型の低コスト品から適用が始まり,オート・フォーカス品や高解像度品へと応用範囲を拡大させていく。台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.(TSMC)などのSiファウンドリでもウエーハ・レベル・カメラ・モジュールの生産を可能にする準備を進めている注1)

注1)TSMCとイメージ・センサー・メーカーの米OmniVision Technologies, Inc.との合弁企業である台湾VisEra Technology社がウエーハ・レベル・レンズの製造とイメージ・センサー・モジュールの組み立てを担当する。TSMCの子会社でMEMSプロセスを担当する台湾XinTec Inc.が,貫通電極の形成とガラス封止などを担当する。

図1 MEMS技術によるカメラ・モジュール製造で半導体メーカーの事業領域が拡大
貫通電極形成,ウエーハ・レベルでの高耐熱レンズ成型,基板接合といったMEMS技術によって,“ウエーハ・レベル・カメラ”を実現できるようになる。その結果,半導体メーカーの事業領域が拡大する。イメージ・センサー,レンズ・ユニット,赤外線遮断フィルタなどの部品メーカー,組み立てメーカーがかかわる複雑なサプライ・チェーンが,半導体メーカーに一本化される可能性がある。左と中央の図は東芝のデータ。他は本誌が作成。
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