日本のFTTH(fiber to the home)加入者数は,2008年6月に1300万を突破した。その加入者は,100Mビット/秒と高速な最大データ伝送速度でインターネットにアクセスすることができ,IP電話やIPTVのサービスも利用できる。また,無線LANを使うことで,家のどこからでも,駅や空港,ホテルといったスポットからもインターネットに高速アクセスできるようになった。

 こうしたブロードバンド/ワイヤレス環境を支えるデータ通信技術の中核は,光ファイバ通信とEthernetである。いずれも,ほぼ40年前の1970年代初頭に登場した技術だ(図1)。ここでは両技術を中心に,データ通信技術の40年の歴史を振り返ってみる。

図1 主なデータ通信サービスと技術の変遷
図1 主なデータ通信サービスと技術の変遷
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電話からデータへ,ATMからIPへ

 光ファイバの発明は1970年のこと。それから10年以上をかけて,各国の通信事業者は,電話回線を束ねる長距離・大容量の幹線網として光ファイバを埋設していった。日本でいえば1985年に,北海道の旭川から鹿児島まで全長約3400kmの光ファイバ伝送路「日本縦貫ルート」が完成した。

 ちょうどそのころ,企業ではワークステーションやパソコンなどコンピュータの導入が急速に進みつつあった。通信の自由化もこの年だ。これに伴い,企業のネットワーク化が加速した。

 企業のネットワーク化は大きく二つの方向で進んだ。一つは,企業のオフィス内やフロア内をネットワーク化するLAN(local area network)である。ここで使われたのがEthernetだ。1973年に米Xerox Corp.のPARC(Palo Alto Research Center)で生まれたEthernetは,その10年後の1983年にIEEE802委員会が策定した最初の標準規格「10BASE5」からLANによく使われるようになった。10BASE5は同軸ケーブルを使用し,その多くが黄色の被覆を採用していたため,「イエロー・ケーブル」がLANの代名詞となった。