図1 トヨタ自動車の「Fine-X」
図1 トヨタ自動車の「Fine-X」
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 第39回東京モーターショー(一般公開日:2005年10月22日~11月6日)には,ステアリングの操舵角に応じてタイヤの切れ角をモータで制御する「steer-by-wire」のシステムを採用した試作車がトヨタ自動車や日産自動車,スズキ,富士重工業から相次いだ。

 トヨタ自動車は燃料電池車のコンセプトカー「Fine-X」に,日産自動車は電気自動車のコンセプトカー「Pivo」に(詳報記事),スズキは燃料電池車のコンセプトカー「IONIS」に,富士重工業はコンセプトカー「IVX-II」に採用している(図1,図2,図3,図4)

 自動車メーカーでは今後,ハイブリッド車や電気自動車,燃料電池車といったパワートレーンの電動化が進めば,この豊富な電力を使ってsteer-by-wireやブレーキを電子制御するbrake by wireといったシステムの採用が進むとみており,こうしたby-wire化に力を入れている。

 富士重工業やスズキが展示したsteer-by-wireのシステムでは,1つのモータに問題が生じた場合でも運転に支障をきたさない仕組みが盛り込んである。例えば,スズキはタイヤの切れ角を制御するモータを車軸上に2つ搭載し,一方が故障してももう一方のモータで操舵できるようにした。

 このシステムは,車速に応じてタイヤの切れ角を変えるため,ステアリングをある一定角度で切っても車速が低ければ大きく切れ,車速が高ければ少ししか切れない(図5)。車速が低い場合にはステアリングを90度回すだけでタイヤの切れ角が最大になるとしている。

 一方,富士重工業のシステムもスズキと同様に,タイヤを切るモータを車軸上に2つ搭載した。さらに,ステアリングに反力を伝えるモータについても,フェイルセーフのためモータを2個搭載したほか,回転角を検出するセンサについても3個取り付けたという(図6)。

 富士重工業では,今回のシステムに使う部品を海外の航空機関連の部品メーカーから調達した。今後,部品の低コスト化や高品質化については部品メーカーに改良を任せて,自社ではsteer-by-wireシステムの実用化を進める上での課題や使い勝手を高めるための研究開発を進めていくとしている。

図2 日産自動車の「Pivo」
図2 日産自動車の「Pivo」
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図3 スズキの「IONIS」
図3 スズキの「IONIS」
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図4 富士重工業の「IVX-II」
図4 富士重工業の「IVX-II」
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図5 「IONIS」のコクピット・モジュール
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図6 「IVX-II」のsteer-by-wireシステム
図6 「IVX-II」のsteer-by-wireシステム
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