デンソーがフロントガラスをディスプレイとして使う技術の開発について、SAE2005(米自動車技術会総会と展示会)で講演した(講演番号2005-01-1603)。同技術はカーナビ画面やヘッドアップディスプレイに代わり、クルマのフロントガラス全面をディスプレイとし、カーナビのルート案内や各種警告、ナイトビジョンを表示するもの。同社の将来技術像を描いた「DENSO VISION 2015」でも、2015年の有望な技術として紹介していた。

図1◎デンソーが2004年の東京モーターショーなどで展示したフロントガラス全面を使って表示するディスプレイ。

 講演では冒頭に、フロントガラスディスプレイを導入する背景について説明した。まずは近年、死傷者は減っていいるものの、事故の件数自体は世界的に増えていること。そしてドライバーの年齢が上昇していること、さらに車両が表示する情報が増えていることを指摘した。そのため大画面で、ドライバーの視点と焦点を大きく動かさなくてもよいものとして、フロントガラスディスプレイを開発しているという。

 現在のプロトタイプでは右眼用と左眼用、別々の投影式ディスプレイをダッシュボード下に配置。フロントガラスに反射させて眼に投影するが、左右眼の視差を利用して投影したイメージを立体的に見せている。立体的な表示のために課題が残るのが奥行きの表現で、講演では、ドライバーが正確に距離を把握できる立体表示の方法について主に説明した。