英Lotus Engineering社は、少量生産車種向けのフレーム構造「VVA」(Versatile Vehicle Architecture)をSAE2005(米自動車技術会総会と展示会)で展示した。アルミ合金製の鋳造品、プレス品、押し出し材などを使い、接着剤やリベットなどで接合する。小型スポーツカーLotus「Elise」のスペースフレームに使った技術を応用している。

図1◎会場に展示した「VVA」技術を使ったシャシーの一例。

 従来、自動車メーカーがニッチ市場向けの車両を作るには、新規プラットフォームを作るか、すでにあるプラットフォームを流用するしか方法がなかった。少量生産用の専用プラットフォームを作る場合、莫大なコストと時間が必要になる。流用の場合はデザインや性能に制約が生まれてしまう。そこでVVAはニッチ市場に向けた専用プラットフォームを、コストを抑えて実現する。

 派生車も含めて年産5万台規模を想定しており、シャシーを構成する主要な部品は派生車間で共有化する。ただし、ボディのバリエーションを増やすための部品は車種に合わせて専用品とする。

 スポット溶接の代わりにリベットを使い、閉断面などには特殊なねじを使う。接着剤が完全に固まるまでボディ構造を保つほか、万が一の衝突時などに接着部分のはく離を防ぐのが目的だ。特殊なネジは「フロードリルねじ」と呼ばれるもので、穴を開けずに使えるセルフタッピングねじの一種。

図2◎ボディ後方から隔壁部分を見たところ。多数のリベットと接合用の「フロードリルねじ」が確認できる。