米BorgWarnerは同社のデュアルクラッチ変速機(DCT)の燃費に対する効果、将来像などをSAE2005(米自動車技術会総会と展示会)で講演した(講演番号2005-01-1021)。同社のデュアルクラッチは「DualTronic」という製品名で、自動MTの「DSG」に使われており、ドイツAudi社、ドイツVolkswagen社、スペインSeat社などの車両に搭載されている(関連記事)。

 DCTは有段の自動変速機よりも最大で15%の燃費改善効果があるだけでなく、最高速度も高く、加速についても自動変速機をしのぐという。燃費改善の要求だけでなく、顧客は運転の楽しさや、快適さを求めるなど市場の要求は多様化している。結果として、欧州市場におけるDCTの市場シェアは2004年の0.9%から急拡大し、2009年に9.6%、2013年に18%になると同社では予測している。特に欧州ではディーゼルの比率が高いことから、トルク容量に制限のあるCVTは成長が限られるとし、2013年のシェアは2%と低くとどまると見ている。

 そのほか、自動MTや有段の自動変速機など様々な変速機があるが、適合する車両の幅がもっとも広いのが湿式クラッチ付きのDCTと同社は位置づけている。燃費改善、レスポンス、発進時のスムーズさに優れ、ディーゼルとの組み合わせも可能なためだ。

図◎デュアルクラッチ変速機用のクラッチ。「DSG」の名で、Volkswagenグループの車両が採用している。