SAE2005(米自動車技術会総会と展示会)2日目の基調講演では、ホンダの専務で日本の自動車技術会の議長を務める萩野道義氏が登壇し、「The Exciting Future for Powertrain Technology」と題して将来のパワートレーン技術に関して講演した。

 萩野氏は世界で使われている自動車の台数が、1990年から2020年の間に5億8000万台から12億台と2倍に増えるという予測値を示し、実際に1990年から2005年の15年間だけでも世界の気温が0.5度上昇していることを例にとり、地球環境に大きな影響を与える可能性を強調した。

図1◎SAE2005の基調講演で登壇した萩野道義氏。

 アジアを中心に自動車の台数が急増していることなどを考えると、すべての自動車が排出するCO2は今後さらに増え続ける。IEA(国際エネルギー機関)の試算では、1990年の29億トンから、2020年には60億トンに達するという。対策として、仮にすべての自動車の燃費を7%改善したとしても、CO2排出量は4億トンしか減らない。

 そこでホンダ独自の想定として1990年のレベルに少しでも近づけるためのシナリオを紹介した。ガソリンエンジンのすべての燃費を平均で20%改善してさらに2億トン。ディーゼルの市場シェアを全世界で30%に高めて2億トン、ハイブリッド車両の市場シェアを30%に上げて4億トン。燃料電池車を10%として3億トンという想定だ。