NECが工場への仮想ネットワーク技術「SDN(Software-Defined Networking)」の導入に力を入れている。SDNは、ソフトウエアによってネットワークを制御する技術(用語解説)。ネットワーク設定が容易で柔軟な変更・追加が可能となる。同社は、IoT(Internet of Things)を活用した製造業向けのソリューション「NEC Industrial IoT」を提案しており、それを構成する重要な技術としてSDNを位置付けている(NEC Industrial IoTのニュースリリース)。東京ビッグサイトで開催された「第26回 設計・製造ソリューション展」(2015年6月24~26日)の同社ブースでも同技術をアピールしていた。
これまでのネットワークは、ルーターやスイッチ、コントローラーなどの専用機器を用いて構成していた。ベンダー独自のプロトコルで動作するものも多く、いったん設定すると変更するのが面倒で、機器の追加にも手間がかかった。SDNはそうした専用の制御システムをオープン技術に切り替え、ソフトウエアでネットワークの動きを制御しようというもの。ソフトウエアで一元的に制御するため、各機器を一台ずつ設定する手間が省け、ネットワーク全体の状況も監視しやすい。ソフトウエアによる制御なので上位層のアプリケーションと連携しやすい。
一般にネットワークは、設定が不適切だと非効率な回線ルートによって遅延が発生したり、障害を起こしたりする。例えば、ネットワークのルート設定にミスがあると、回線がループ状になる「ループ障害」と呼ぶ不具合が発生する場合がある。通信が正常に行われないと、工場などでは生産設備の停止など致命的な問題となりかねない。SDNはこうしたリスクを大幅に低減できる。