講演する吉岡氏
講演する吉岡氏
[画像のクリックで拡大表示]

 看護師の吉岡純希氏は、「『ウエアラブル』の本質を議論する 2015 ~“使い手”の視点から真価を探る~」(2015年5月26日、主催:日経デジタルヘルス)で、看護の現場におけるウエアラブルの活用法について講演した。

 吉岡氏は、病院でのウエアラブル技術の導入動向について「センシングによって得られたデータの活用に限定されていて、それ以外の応用法にはまだ現実味がない」と指摘。同氏は看護師の視点から、治療にとどまらず、日常生活の支援を含め、患者や家族が必要としているものを突きつめれば、「看護×センサー」の分野にも新たな介入領域が見つかるとした。

 その例の一つが、吉岡氏が取り組んでいる「ホスピタルアート」だという。これは、各種のウエアラブル機器に合わせてコンピュータープログラムを作成し、身体可動性に制限のある患者による、ダンスや楽器の演奏などのパフォーマンスを実現するもの。まひや筋力が衰えていく疾患を持つものの、意識ははっきりしていて自身の考えがある患者の自己表現などを、センシングで手助けする活動だ。

 吉岡氏はこれまでに実現してきたホスピタルアートの事例を紹介した。例えば、筋ジストロフィーの患者が視線追跡装置「Tobii EyeX」を使ってプロジェクションマッピングを視線で操作したり、重度の心身障害を持つ子どもたちが3Dモーションセンサー「Leap Motion」を使って、ほんの少しの指の動きで壁などに大きく投影された桜の花びらを美しく散らしたりといったパフォーマンスである。