現行プリウスのエンジン
現行プリウスのエンジン
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタ自動車が、2015年内に発売予定の次期「プリウス」に搭載するハイブリッド車用ガソリンエンジンの最高熱効率は40%に達する見込みだ。EGR(排ガス再循環)の限界を現行プリウスの21%から28%に高めるなどして実現する。熱効率40%は、量産ガソリンエンジンとして「世界最高」。初代と2代目プリウスに搭載したエンジン「1NZ-FXE」の最高熱効率は37%、現行の3代目プリウス搭載品「2ZR-FXE」は同38.5%だった。

 自動車技術会が開催する「2015年春季大会学術講演会」(2015年5月20~22日、パシフィコ横浜)で発表した。EGR限界を高め、冷やした排ガスの循環量を増やすと、熱容量が大きくなり筒内ガスの温度を下げられる。ノッキングを抑えられるとともに、冷却損失を現行比で8%減らせる見込みだ。

 EGR限界を高めるために燃焼を速くする。高速燃焼の実現には、筒内の気流を乱れやすくすることが重要である。トヨタはピストンの駆動方向の旋回流とその軸方向の比であるタンブル比を、現行エンジンの0.8から2.8に高めた。特にピストンの上死点付近の気流が乱れやすくなる。

 高タンブル比にするために吸気ポートの下側付近を直線に近づけ、気流が縦渦になりやすくする。トヨタの試算では、例えばエンジン回転数が2000rpmのときの圧縮行程中で、筒内ガスの平均乱れ速度を従来の2.5m/sから3.4m/sまで速くできる。

 加えて、ピストン頂面の形を変えたことも筒内の気流を乱れやすくすることに寄与する。ピストン頂面に設ける円筒状のくぼみの径を小さくして実現する。ただし、筒内ガスの乱れを促進して流速を高めると、着火しにくくなる。これを防ぐために点火プラグの点火エネルギーを従来の35mJから100mJに高める考えである。