講演する鎮西氏
講演する鎮西氏
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 パソコンやスマートフォン、ウエアラブル端末、3Dプリンター…。こうした民生機器と既存の医療機器を組み合わせた医療イノベーションが起りつつある。産業技術総合研究所 健康工学研究部門副研究部門長の鎮西清行氏が開発した医療機器用ソフトウエアキット「SCCToolKit」(Small Computings for Clinicals ToolKit)も、その一つだ。これは、汎用パソコンを利用して内視鏡画像処理などを行う医療機器用ソフトウエアを開発するもので、原価100万円の研究用システムが、わずか数万円程度のパソコンで実現できる「破壊的イノベーション」(鎮西氏)だと語る。

 鎮西氏は、「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術講演(2015年4月11~13日、国立京都国際会館など)の「IT外科の最前線:低侵襲手術を支援する3D画像と臓器立体モデル」と題するセッションに登壇。「パソコン・スマホが最新の医療機器に!~SCCToolKitが拓く医工連携~」と題して、同開発キットがもたらす意義、成果を披露した。

 鎮西氏は、SCCToolKitを開発し、無償公開する背景の1つとして、2014年11月に施行された改正薬事法、すなわち医薬品医療機器等法で医療機器の機能を持つソフトウエア単体(ソフトウエア医療機器)が同法の対象として製造販売が認められるようになったことがあると説明した。「同法により、医療機器をソフトウエアだけで購入可能になり、ハードウエアを買い換えることなく利用できる。また、(ソフトウエア医療機器と組み合わせれば)汎用パソコンやスマホを医療機器として使うとことも可能で、ドクターが最新技術に触れる機会を増やすことができる。そうしたソフトウエア医療機器が保険償還の候補になったことは大きなインパクトだ」(鎮西氏)。