小栗氏
小栗氏
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安価なカメラに着目

 尿量自動推定では、安価なカメラを用いた液体流量推定手法を紹介した。小栗氏は「非侵襲センシングに関して、高度なケミカルセンシングや新開発のセンサーを利用した提案も素晴らしいものだが、私は最近非常に安くなってきたカメラに着目した」と話し、カメラを便器に装着することで尿量、尿の勢い、尿の色などを測定する簡便なシステムをスライドで示した。

 このシステムは安価なだけが利点ではなく、カメラによるリアルタイム測定が肝だという。実際に注射器を用いて実験を行なった流量の推定結果は、循環器内科要件のプラスマイナス10%を満たす数値となった。

 小栗氏はこの他にも、車内搭載センサーを用いたドライバーの生体信号測定により、現在では世界最高水準を自負する車内での「居眠りレベル推定」を可能とした。終盤には、人気アニメ映画の『ベイマックス』を例に挙げ、「私が実現したいのは、まさにあのロボットが映画でやっていたこと」と語り、新しい技術との融合に意欲を見せ、次のような言葉で講演を締めくくった。

 「センシングは新しい文化だが、中には怪しげなものもたくさん出てきている。そうした中、信頼できるものを作ることが大事だ。数値の点から言えば、私が取り組んでいる領域も含めて、非常に高い水準で利用可能なものが出てきている。活用できる環境を皆さんと一緒に作っていきたい」。