小栗氏
小栗氏
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身体のどこにでも装着可能

 この推定装置は指先に乗せる小型形状ではあるものの、小栗氏によれば身体のどこにでも装着可能。光電式容積脈波とは端的に言えば脈波(心拍動に伴う末梢血管系内の血圧・容積変化)を採取することで、一定の血管情報を知ることを目的とする。ただし「誤解のないように言えば、私が言うこの血圧推定値は現在の血圧計に取って代わるものではない。限りなく近いところまでは可能ということ」(小栗氏)と付け加えた。

 この言葉からもわかるように、小栗氏が求めているのは血圧の絶対値の推定ではなく、「24時間365日血圧をモニタリングできるか」がテーマなのだという。「血圧は一日の中で上がったり下がったりを繰り返す。例えば階段を昇ったり、食事をしたりというイベントがあると、短時間でも血圧値が10から20くらいは変動する。この際、脈波のパラメーターを見ると、結構同じような動きをするパラメーターを発見できたりする。つまり、脈波のパラメーターをきちんと観察することによって、変動にも追従できるアルゴリズムができるのではないか」(小栗氏)。

 現在は研究室内で検証を重ねている段階だが、より詳細なデータを採取するために長時間・短時間の2種類で変動データを分離して推定アルゴリズムを構築している。また、個人差が大きいのもネックだとしながらも、個人の最適化を施すことで推定値の精度を高めていると語った。