「DVDプレーヤーはもちろん、Blu-ray Discプレーヤーでさえ、市場から消え去ろうとしている」。市場調査会社のドイツGfK社で家電関連のGlobal Directorを務めるJurgen Boyny氏は、こう言い切った。2015年4月23~26日にマルタ共和国で開催された報道関係者向けのイベント「IFA Global Press Conference 2015」でのひとコマだ。

 背景には、インターネットを用いたテレビ向けのVOD(video on demand)サービスの利用者が増えていることがある。音楽配信サービスの台頭でパッケージメディアのCD(compact disc)プレーヤーが存在感をなくしたように、映像でも同様のトレンドが本格的に顕在化するという見立てだ。

2015年のワールドワイドのスマートフォンや液晶テレビ、デジタルカメラなどの販売額による比率と販売額の伸びの予測。販売額の伸びが大きいのはスマートフォン。液晶テレビも前年比で2.3%増と増えると予測している。GfK社のプレゼン資料から
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 VODサービスを核にしたスマートテレビや、解像度を高めた4K(3840×2160画素)テレビの普及などを背景に、液晶テレビは2015年にワールドワイドの販売額が2.3%伸びるとGfK社は予測する。米Google社の「Chromecast」のようなテレビに外付けして使うメディアプレーヤーは「すべてのテレビがスマートテレビになるまでの短期間のつなぎの商品」と位置づけた。

 ただ、欧州の家電販売は決して好調ではない。Boyny氏によれば、特に西欧での販売額は2014年にほとんどの国で前の年の実績を下回った。西欧の液晶テレビ販売台数は2015年に、ほぼ横ばいの3750万台で推移すると見ている。スマートテレビによるVODサービス利用への強い期待感は、どちらかと言えばネガティブな市場予測の裏返しと言えるのかもしれない。

欧州での液晶テレビの販売額の推移。赤いプロットは西欧、青いプロットは中・東欧のデータ。GfK社のプレゼン資料から
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