「テレビのビジネスは、まるで血で血を洗うような環境。激しい競争の中で生き抜くのは容易ではない」。オランダのGrundig Multimedia社のCEO(最高経営責任者)を務めるMurat Sahin氏は、価格が急速に低下し、コモディティー化が進行した液晶テレビ・ビジネスをこう表現した。

Grundig社 CEOのSahin氏
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 Grundig社は、ラジオから始まり、70年の歴史を持つAV(オーディオ・ビジュアル)系の老舗ブランド「GRUNDIG(グルンディッヒ)」を展開する家電メーカー。ドイツ発祥の企業だが、現在はトルコのコチ財閥が経営権を持つ。

 同社は、2013年に洗濯機などの白物家電を「GRUNDIG」ブランドで市場に投入し始めた。2015年4月23~26日にマルタ共和国で開催された報道関係者向けのイベント「IFA Global Press Conference 2015」では、プロジェクターを用いたIHクッキングヒーター用の新しいユーザーインターフェース(UI)技術を披露した。

IHクッキングヒーターの上と周囲にUIを映し出す(左)。レンジフードの上部にプロジェクターとTOF方式の距離画像センサーを組み込んだ(右)
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 「VUX(Visual User Experience)」と名付けられた新しいUIは、レンジフードに組み込んだプロジェクターからIHヒーターの上と周囲に“操作ボタン”となる画像を映し出す。赤外線を用いる「TOF(time of flight)」方式の距離センサーを用いて、指の動きを読み取りIHヒーターを操作する仕組みだ。日本国内でも、大手メーカーが物理的なボタンをなくした同様のUIの開発を進めている。