登壇した「医療とIT分科会」の吉留氏
登壇した「医療とIT分科会」の吉留氏
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「医療情報を循環させよう」と訴え
「医療情報を循環させよう」と訴え
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Information donorに!
Information donorに!
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 「このまま個人の医療情報を抱えこんでいては、守っているつもりが、奪われてしまうことになりかねません。患者も医療従事者も“情報ドナー(information donor)”に!」。多くの医療従事者を前に切々と訴える薬学生の姿が、そこにはあった――。

 「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術講演(2015年4月11~13日、国立京都国際会館など)では、医学/薬学生が登壇する「医療チーム 学生フォーラム」が開催された。このうち、滋賀医科大学医学部の金尾亮氏をはじめとする「医療とIT分科会」のメンバー6人が発表したのが「2050年の医療」について。

 メンバーの1人として、身振り手振りを交え、躍動感あふれるプレゼンテーションを行ったのは京都薬科大学 薬学部の吉留利香氏。将来の医療では、体内を循環するマイクロマシンなどの“機械化”や、膨大な医療情報を収集・解析する“ビッグデータ活用”が進むとし、こうした環境に向けて日本の医療界や社会に求められる取り組みを訴えた。

医療情報を循環させる

 プレゼンを通じて一貫して訴えたのは、「医療情報を循環させる」ことの重要性だ。日本では、さまざまな医療機関が集めた情報を一括管理できるサーバーやデータベースの整備が遅れており、医療情報の二次利用も進んでいないと指摘。海外のサービス事業者などが「個人の医療情報を収集・蓄積する動きが避けられない状況の中、このままでは医療情報が海外に流出してしまいかねない」と警鐘を鳴らした。「医療情報を守ろうとする結果、無意識のうちに収集されている可能性があるのです!」

 目的を定めてから集めるのではなく、まずは集めなければ何も始まらない――。医療情報について、プレゼンではこう訴えた。情報収集に必要な取り組みとして、「個人情報保護法改正」「統一IDと異なる全国レベルの医療ID」「一括管理データベース」「データ利用のルールと監査」などを挙げた。