基調講演に登壇したCiscoのJie Xue氏
基調講演に登壇したCiscoのJie Xue氏
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 ICEP-IAAC2015への参加者は会期を通じて400人を超え、過去最多となった。基調講演のセッションは、うち3件が会期2日目の2015年4月15日に開催された。いずれも、IoTとその先のアプリケーションやシステムについての展望を語る内容。デバイスや実装技術によるイノベーションの機会とその可能性がテーマだった。

 最初に、米IBM社のAsia Pacific CTOにこの4月に就任したNorishige Morimoto氏が登壇した。同氏はIoTの先にある技術とされるコグニティブコンピューティングを5つの要素で定義した。異種混合ビッグデータ、超高速コンピューティング、超低消費電力、マンマシン・インタラクション、不確定データに基づく機械生成による仮説、である。

 これらを可能とする技術を統合することで、問題の早期発見や非侵襲診断、性能予測などのリアルタイム分析が可能になると同氏は話す。例えば、タンカーなどの船舶にセンサーを張り巡らせ、センシングデータを収集することで、メンテナンスコストを10%削減できるという。データをクラウドで分析することで、計算モデルがなくてもデータの相関性だけで予測が可能とした。

 「IBM Watson」の進化にも言及。現状で対応するのは1対1の会話だが、今後は会話で得られた情報を基に知識をアップデートしたり、必要な情報を引き出すような質問をしたりできるようになる、との見通しを示した。質疑応答の場では、Watsonの利用者が人工知能(AI)に過度に依存するリスクをいかに回避するかなどについて、活発な議論が交わされた。