ICEP-IAAC 2015の会期3日目には、プリンテッドエレクトロニクスに関するセッションが開催された。昨年の「ICEP 2014」では、近年注目を集めているストレッチャブルやウエアラブルに関連する発表が多かった。今回は、印刷技術に関する基礎的な材料やプロセス、装置に関する研究発表が多く、それぞれの立場でプリンテッドの実用化に向けた議論が展開された。

 印刷技術の大きな課題である微細化に対しては、ナノインプリントや反転オフセット印刷といった有版印刷や、特殊なインクジェット(IJ)印刷が有力な実現手段と考えられる。北陸先端科学技術大学院大学は今回、ナノインプリント材料として金属錯体を基板上にコートし、ゲル化してからインプリントにより微細化する方法を報告した。

 金属種の選択によって、ITOなどの透明導電膜やIGZOなどの酸化物半導体膜を微細パターンとして形成でき、FETとして良好に動作した結果を示した。印刷半導体の微細化は印刷配線に比べて報告例が少ない。比較的高温での処理が必要という欠点はあるものの、印刷デバイスの可能性を示す貴重な発表だった。旭化成はシームレスなロール版を報告し、インプリントモールドや印刷版としての実証例を示した。

 これらの有版印刷技術ではいずれも線幅200nm以下のパターンを形成しており、従来の印刷技術を上回る実用的な特性を持つデバイス作製の可能性を感じさせた。