東芝メディカルシステムズは2015年4月17日、320列X線CT装置の新製品「Aquilion ONE/ViSION FIRST Edition」を日本国内で発売した(リリース)。新規開発した逐次近似再構成法やX線検出器を搭載し、従来に比べて低線量かつ高画質での撮影を可能にした。撮影条件によっては、単純X線(レントゲン)撮影の2回分ほどの被曝量で、高品質のCT画像が得られる。
価格は61億円、発売初年度に50台の販売を計画する。「2015 国際医用画像総合展(ITEM 2015)」(2015年4月17~19日、パシフィコ横浜)に実機を出展した。
最大の特徴は「順投影適用モデルベース逐次近似再構成(FIRST:Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion)」と呼ぶ、逐次近似再構成法を搭載したこと。これにより、FBP(filtered back projection)と呼ぶ従来の画像再構成法を用いた場合に比べて、画質(空間分解能や密度分解能)を高めるとともに、被曝量を最大80%低減した。
FIRSTでは、X線管球の焦点や検出器のマトリクスサイズといった幾何学的情報を考慮した光学モデルを適用。これによって画像再構成の精度を高め、空間分解能を高められるようにした。システムモデルや統計学的ノイズモデルと呼ぶ、その他のモデルも適用することで、淡いコントラスト(低コントラスト)における検出能力も高めている。雑音成分は逆投影(back projection)と順投影(forward projection)の繰り返し処理の過程で選択的に除去でき、FBPによる再構成画像と同品質の画質を、より低線量で得ることが可能だ。