がんだけを光らせるスプレー、手術検体で効果確認

2015/04/16 08:49
大下 淳一=日経デジタルヘルス
講演する浦野氏
講演する浦野氏
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 東京大学大学院 医学系研究科・薬学系研究科 教授の浦野泰照氏は、同氏らが開発した手術中にがん細胞だけを光らせるスプレー蛍光試薬について、乳がん患者の手術検体で有効性を確かめた(関連記事)。国内外約30の医療機関と共同研究を進めており、近く事業化に向けた組織を立ち上げる。

 「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術講演(2015年4月11~13日、国立京都国際会館など)の「医・薬・工学の連携が生み出す未来のサイエンス」と題するセッションに登壇。「術中迅速がんイメージングを可能にする小分子蛍光プローブの開発」と題し、最新の成果を紹介した。

 浦野氏らが開発したスプレー蛍光試薬(小分子蛍光プローブ)は、がん細胞においてある種の酵素活性が高くなっていることを利用するもの。手術時にがんが疑われる部分にスプレーを噴霧するだけで、がん細胞だけを光らせて周辺組織と区別することを可能にする。噴霧量は約100μgとごく微量で済み、蛍光は肉眼で数分以内に確認できるという。

乳がんを90%以上の感度・特異度で

 今回、「GGT」と呼ぶ酵素活性を持つがん細胞だけを光らせるスプレー蛍光試薬について、乳がん患者の手術検体で効果を検証。検出の感度、特異度ともに高く、90%を超えたという。試薬を噴霧して1分ほどで明るい蛍光を確認できた。実際の臨床応用では「蛍光が確認できた場合には迅速病理(検査)に回す、といった使い方ができる」と浦野氏は話す。

 ただし、すべてのがんでGGT活性が高いわけではない。例えば、食道がんはGGT活性に着目した試薬での検出が難しいという。そこで同氏らは多種多様な試薬を開発中で、既に約350種類を作製した。

 食道がんに対しては、糖尿病治療薬のターゲット物質でもある「DPP-4」と呼ぶ酵素の活性に着目して試薬を開発。その有効性を確かめた。この試薬は、内視鏡と組み合わせて健診にも使える可能性があるという。