講演する浦野氏
講演する浦野氏
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乳がんを90%以上の感度・特異度で

 今回、「GGT」と呼ぶ酵素活性を持つがん細胞だけを光らせるスプレー蛍光試薬について、乳がん患者の手術検体で効果を検証。検出の感度、特異度ともに高く、90%を超えたという。試薬を噴霧して1分ほどで明るい蛍光を確認できた。実際の臨床応用では「蛍光が確認できた場合には迅速病理(検査)に回す、といった使い方ができる」と浦野氏は話す。

 ただし、すべてのがんでGGT活性が高いわけではない。例えば、食道がんはGGT活性に着目した試薬での検出が難しいという。そこで同氏らは多種多様な試薬を開発中で、既に約350種類を作製した。

 食道がんに対しては、糖尿病治療薬のターゲット物質でもある「DPP-4」と呼ぶ酵素の活性に着目して試薬を開発。その有効性を確かめた。この試薬は、内視鏡と組み合わせて健診にも使える可能性があるという。