講演する山川氏
講演する山川氏
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 日本原子力研究開発機構は、手のひらサイズの非侵襲血糖値センサーを開発した。中赤外レーザーを小型化・高出力化して実現したもので、臨床に求められる測定精度を満たすことを基礎的な実験で確認した。医療機関や公共施設、個人などでの利用を想定しており、臨床試験の準備や医療機器メーカーとの協業を進めたい考え。

 「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術講演(2015年4月11~13日、国立京都国際会館など)の「先制医療とそれをささえる技術・解析手法」と題するセッションに、同機構 量子ビーム応用研究センター 研究主幹の山川考一氏が登壇。「中赤外レーザーを用いた非侵襲血糖測定器の開発」と題して詳細を発表した。

 非侵襲の血糖値センサーはいまだに実現していない。その潜在市場は日本国内で1000億円以上、全世界では3兆6000億円以上とも見積もられる。

 非侵襲血糖値センサーの実現手段の1つとして検討されてきたのが、中赤外領域のレーザー光を使う方法だ。中赤外光がグルコースに強く吸収され、水やアルコール以外の生体成分による吸収は小さいという性質を利用する。ところが、中赤外領域ではレーザー出力を高めることが難しく、十分な測定精度(信号/雑音比)が得られていなかった。レーザーの小型化も難しかった。