CYBERDYNEの展示ブース。“モバイル心電・動脈硬化計”の撮影は許可されず。
CYBERDYNEの展示ブース。“モバイル心電・動脈硬化計”の撮影は許可されず。
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 ロボットスーツ「HAL」などを手掛けるCYBERDYNEは、手のひらサイズで持ち運びでき、家庭や職場で使える心電・動脈硬化計を「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術展示(2015年4月11~13日、国立京都国際会館など)で初披露した(関連リリース)。心電図と動脈硬化度を、非侵襲で手軽に測定できる。今後、実証試験や薬事承認申請を行い、2015~2016年にも発売したい考えだ。

 開発した心電・動脈硬化計は、手のひらサイズの心電計と、それと有線接続した親指大の脈波計から成る。心電計は皮膚に2つの電極を接触させて両者の電位差を測るもので、脈波計はLED方式。

 測定は、心電計を左胸部にあて、脈波計は足の指に取り付けて仰向けの姿勢で行う。心電図を測るとともに、心電と脈波の測定結果から脈波の伝搬速度(PWV:pulse wave velocity)を算出。この値が血管の硬さ、すなわち動脈硬化の指標となる。測定に要する時間は30秒ほどだ。測定結果は心電計が備える小型ディスプレーに表示するほか、Bluetooth経由でタブレット端末などにも表示できる。

 PWVを測るには通常、両腕と両足首に測定用カフを取り付けるような大掛かりな測定装置が必要。医療機関以外で測ることは難しく、価格も一般に100万円を超える水準だ。今回の心電・動脈硬化計は場所を選ばず手軽に測ることができ、価格も10万円を切る水準が狙える。

 CYBERDYNEは目下、容量性カップリングを用いることで、皮膚に直接触れることなく、衣服の上から心電を計測する手法も開発中。心電・動脈硬化計の第2弾以降の製品には、こうした技術も実装したい考えだ。

 同社は2016年3月、福島県に「次世代型多目的生産施設」を稼働予定。この拠点ではHALの他、心電・動脈硬化計のような新製品も生産するとしている。