開発したSTT-MRAMのチップ写真
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝は、プロセッサーやSoCに混載するキャッシュメモリーとして業界最高の電力性能をうたう、1Mビットのスピン注入磁化反転型MRAM(STT-MRAM)を開発した。SRAMキャッシュに比べて消費電力を80%削減できるという。動作が必要な構成要素以外の電源をこまめに遮断する、パワーゲーティング技術などで実現した。動作速度もアクセス時間3.3nsと高速である。

 「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)2015」(2015年2月23~26日、米国サンフランシスコ)」で詳細を発表した。講演タイトルは「A 3.3ns-Access-Time 71.2μW/MHz 1Mb Embedded STT-MRAM Using Physically Eliminated Read-Disturb Scheme and Normally-Off Memory Architecture」(講演番号7.5)。

 東芝はかねて、L2/L3キャッシュに使うSRAMの置き換えを狙い、不揮発で高速という特徴を備えるSTT-MRAMの開発を進めてきた(関連記事)。従来はメモリーセルアレイの低電力化に比重を置いてきたが、周辺回路を低電力化できておらず、キャッシュメモリー全体としてはSTT-MRAMのポテンシャルを十分に引き出せていなかったという。今回は、STT-MRAMの不揮発性を生かした細粒度のパワーゲーティングを周辺回路に適用。100ns以内で電源を遮断・復帰できるようにした。これにより、目標とする「ノーマリーオフ動作にかなり近づくことができた」(東芝 研究開発センター 研究主幹の藤田忍氏)。

細粒度のパワーゲーティングを導入
[画像のクリックで拡大表示]