図1●「Dynamic Vth Optimization」の概要。読み出すレベルを動的に調整し、メモリーが劣化した際にも常に最適な条件で読み出す。
図1●「Dynamic Vth Optimization」の概要。読み出すレベルを動的に調整し、メモリーが劣化した際にも常に最適な条件で読み出す。
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図2●「Auto Data Recovery」の概要。読み出し中に電子がメモリーセルに注入される効果と、データ保持中に電子がリークする効果を相殺させることで信頼性を高める。
図2●「Auto Data Recovery」の概要。読み出し中に電子がメモリーセルに注入される効果と、データ保持中に電子がリークする効果を相殺させることで信頼性を高める。
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 中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 教授の竹内健氏らの研究グループは、半導体ストレージ(SSD)の動作速度を従来比6倍、信頼性を同5倍に高める技術を開発した。低コストのTLC(3ビット/セル)NANDフラッシュメモリーを使いながら、周辺のメモリーセルからの干渉を補正したり、メモリーセルの劣化に合わせて読み出しレベルを調整したりすることで高速化・高信頼化を実現した。自動運転やIndustry 4.0といったIoT分野への応用につながるとする。

 「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)2015」(2015年2月23~26日、米国サンフランシスコ)」で詳細を発表した。講演タイトルは「Enterprise Grade 6× Fast Read and 5× Highly Reliable SSD with TLC NAND Flash Memory for Big Data Storage」(講演番号7.7)。

 IoTのようにリアルタイム性が重視される分野では、データを高速に処理、記憶、および管理するストレージが求められる。ところが、従来のSSDでは高い性能と信頼性を両立することが難しかった。例えば、データの信頼性を高めようと強力な誤り訂正技術を用いると、メモリーを読み出す時間が長くなるなど読み出し性能が劣化する。