TSensors SummitのCEO兼会長であるJanusz Bryzek氏
TSensors SummitのCEO兼会長であるJanusz Bryzek氏
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 米Trillion Sensors Summit(以下、TSensors Summit)社のCEO(最高経営責任者)兼会長であるJanusz Bryzek氏は2014年12月5日、SEMICON Japan 2014(東京ビッグサイト)のGSAフォーラムに登壇。「トリリオンセンサーがもたらすInternet of Everything」と題して、年間1兆個のセンサーがもたらす「Abundance(潤沢な世界)」について講演した。

 TSensors Summitは、年間1兆個を超えるセンサーを活用できる社会(Trillion Sensors Universe)に向けた取り組みを議論するイベントであり、Bryzek氏がCEOを務める米TSensors Summit社が運営する。同氏はMEMS(micro electro mechanical systems)のエキスパートとして10社以上の創業に参画し、1989年には米Arthur Young社から“Entrepreneur of the Year”に選ばれたという経歴を持つ。

 TSensors Summitが目標とする「Abundance(潤沢な世界)」とは、食料が豊富で飢えた人がおらず、環境が汚染されておらず、エネルギーが豊富で、すべての人々が医療を受けることができる「人々が満たされた世界」を意味する。

 Bryzek氏は講演の冒頭、豊かさの指標であるGDP(国内総生産)で優位に立つ国・地域が、技術の進歩によって変化してきたことを解説した。「18世紀までは多くの人口を抱えた中国やインドがGDPのリーダーだった。だが、最初の技術革命で蒸気機関、電気、内燃機関、無線、航空機が登場すると欧州がリーダーとなり、2番目の技術革命でトランジスター、コンピューター、インターネットが登場すると米国、日本が優位に立った」(Bryzek氏)。

 そして、現在はコンピューター、コミュニケーション、センサー技術が融合する第3の技術革命が起きようとしており、「Abundance(潤沢な世界)」はこの第3の技術革命によって実現されるとする。

 Bryzek氏は、Abundance(潤沢な世界)および第3の技術革命を可能にするもの(Enabler)として4つの現象を挙げる。「需要を上回る速さでモノやサービスを生み出していく幾何級数的な技術進歩」、「Burt Rutan氏の宇宙旅行ビジネス、Craig Venter氏のゲノム解析、Elon Musk氏の電気自動車のようなビリオネア(億万長者)によるDo It Yourself革命」「Bill Gates氏、Mark Zuckerberg氏など歴史上類を見ない“技術的博愛主義(technophilantoropic)”のビリオネア」「10億人もの世界の貧困層がインターネット、マイクロファイナンスなどを通じて、グローバルエコノミーに参加しつつあること」である。