講演する成毛氏
講演する成毛氏
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 東芝 執行役専務 セミコンダクター&ストレージ社 社長の成毛康雄氏は「SEMICON Japan 2014」(2014年12月3日~5日、東京ビッグサイト)の「半導体エグゼクティブフォーラム」に登壇。「東芝セミコンダクター&ストレージ社の事業戦略 ~Human Smart Communityの実現に向けて~」と題して講演した。

 成毛氏は、データセンターをはじめとするエンタープライズ分野が今後、NANDフラッシュメモリーの市場成長を牽引すると指摘。NANDフラッシュメモリーを使ったストレージ(SSD)の低コスト化を進め、ハードディスク装置(HDD)の置き換えを加速する意思を示した(関連記事1)。

 NANDフラッシュメモリーのコスト低減手段として、東芝は当面、微細化を優先するが「ある時期からは3次元へ移行する」。具体的には2016年初頭から、メモリーセルを縦積みする3次元NANDフラッシュメモリーの量産を始める計画を明らかにしている(関連記事2)。ただし成毛氏によれば、いったんは「3次元へ逃げるが、そう遠くない先に加工(技術)の限界にぶつかる」という。3次元NANDフラッシュメモリーでは、メモリーセルの積層数を増やすことでビットコストを低減するが、積層数を増やすほど成膜プロセスやエッチングプロセスのコストは高まる。早晩、そのデメリットがメリットを相殺してしまうとの見立てだ。

 そこで、3次元化と組み合わせて使う微細化に必要となる、低コストの次世代リソグラフィー技術の必要性を訴えた。その候補として挙げたのは、EUV(extreme ultraviolet)露光、ナノインプリントリソグラフィー(NIL)、高分子の自己組織化(DSA:directed self-assembly)を利用したリソグラフィーの3つである。