LINE代表取締役COOの出澤剛氏
LINE代表取締役COOの出澤剛氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「LINEをグローバル展開する際には、進出先の文化・宗教などを徹底的に調査してローカライズしている。和製英語だが、我々はこれを“カルチャライズ”と呼んでいる」---。2014年12月4日、半導体製造サプライチェーンの国際展示会であるSEMICON Japan 2014(東京ビッグサイト)2日目のITフォーラム「IoT、クラウド、ビッグデータがもたらすビジネスの未来」に登壇したLINE代表取締役COO(最高執行責任者)の出澤剛氏は、グローバル展開の秘訣とメッセージングサービス「LINE」をプラットフォームとする新しいビジネスモデルについて講演した。

 LINEの誕生は、2010年末にさかのぼる。そのころLINE社内(当時の社名はNHN Japan)で「スマートフォンに特化した新しいサービスを提供しよう」という議論があり、2つのサービスが候補に挙がった。1つはLINEのようなメッセージングサービス、もう1つは写真共有サービスである。その後、2011年3月に東日本大震災が発生し、インターネットによるコミュニケーションの有効性が認識されたこともあり、メッセージングサービスに注力することになった。

 LINEは2カ月ほどの開発期間を経て2011年6月にサービスをスタート、現在では世界中に1億7000万人のアクティブユーザーを抱えるまでに成長した。メッセージングサービスとしては後発だったが、その分、PCやフィーチャーフォンよりもスマートフォン(スマホ)に機能を特化させた。そこでスマホへの切り替えが急速に進んだため、「非常にいいタイミングで参入できた」(出澤氏)という。

 出澤氏は、LINEを「不特定多数を相手にするのではなく、身近な人とのコミュニケーションツール」と位置づける。LINEの特徴である「スタンプ」は、このクローズドなコミュニケーションにおいて、言葉で表現できない微妙な感情をやり取りするためのものだ。

 LINEはグローバル展開も進めており、日本以外にも登録ユーザー数が1000万を超えた国が多数存在する。例えば、米国では2500万人以上、インドやインドネシアではそれぞれ3000万人以上の登録ユーザーがいる。台湾、タイではメッセージングサービスのシェア1位である。

 冒頭の発言にあるように、LINEを世界各国に展開する際には、言語はもちろん、細部にわたるまで徹底した“カルチャライズ”を施している。例えば「ブラジルでは日本のスタンプはナヨナヨとした印象を与えてしまう。そこで、マッチョなデザインのスタンプにした」(出澤氏)。サービスについても、日本版には存在しない「同級生を探す」といった独自機能をインドネシア向けに提供、好評を博しているという。現地のパートナー企業とのコラボレーションで、各国のセレブリティのキャラクターを使ったスタンプも用意している。