眼鏡型や腕時計型、リストバンド型など、多彩な形態の製品が世に出てきたウエアラブル端末。これまで、身体の部位でいえば「目」や「手首」に着目したものが多かった。健康管理用端末を中心にここにきて開発事例が相次いでいるのが、「耳」をターゲットとするものだ。音楽などを聴いている間に脈波などの生体情報を測ってくれるイヤホンはその一例である(関連記事1同2)。

地球快適化インスティテュートとサルーステックによる、市販のヘッドホンを用いた脈波測定のデモ
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 こうしたイヤホンの多くはLEDなどを内蔵し、脈波を測るタイプのもの。一方、信号処理技術を駆使し、市販のイヤホンで脈波を測れるようにしたのが、三菱ケミカルホールディングスグループの地球快適化インスティテュートだ。

 耳にイヤホンを装着すると、外耳道に密閉空間ができる。そしてこの密閉空間の圧力は、脈動に伴う鼓膜の動きによって変化する。この圧力変化をイヤホンで検出するというのが、地球快適化インスティテュートが提案する方法である。人間の可聴域はおよそ20Hz~20kHz。これに対し、鼓膜の動きによる圧力変化は「1~10Hzであるため、この帯域ではイヤホンを(可聴域の音を発するスピーカーではなく)マイクとして機能させることができる」(地球快適化インスティテュート)。