38回目の開催となる「SEMICON Japan」は、会場が25年ぶりに東京に戻り、一層足を運びやすくなった。将来の半導体の応用と、そこで求められる半導体技術を考える場となることを目指すSEMICON Japan 2014には、半導体業界以外の人たち、そして将来を担う若い人たちに向けた多くの展示とイベントが用意されている。特に、これからの社会の変化に大きなインパクトをもたらし、半導体業界の成長を牽引する「IoT」に関連したものは必見だ。見どころを、SEMIジャパン代表の中村 修氏に聞いた。

─SEMICON Japan 2014は、会場が東京ビッグサイトに移るそうですね。

中村 修 氏
SEMIジャパン代表

中村氏 SEMICON Japanは、今年で38回目の開催になります。そして、会場が25年ぶりに東京に戻りました。東京開催は、ここ数年来、来場者の利便性を考えて検討し続けてきました。今年からは、わざわざ丸一日かけなくても、空いた時間に見学できるようになり、これまで以上に幅広い方々に来場いただけると期待しています。変わるのは会場だけではありません。SEMICON Japan自体のコンセプトも一新し、日本の半導体業界が元気になる展示やイベントを数多く企画しています。

─これまでSEMICON Japanは、デバイス・メーカーと装置・材料メーカーがお互いの技術開発の進捗を確認し、情報を擦り合わせる場として貴重でした。コンセプトはどのように変わるのでしょうか。

中村氏 SEMICON Japan 2014は、単に半導体業界の進歩を確認する場ではなく、驚きと発見に満ちた場にしたいと考えています。もちろん、従来の装置・材料を中心とした展示もたくさんあります。それに、新しいアプリケーション、新しい技術を展示する企画を付け加えます。

 最も大きな違いは、半導体の使い手である機器メーカーやシステム・メーカーが、半導体を使って開く未来を語り、半導体の作り手側が目指すべき次の技術へのビジョンを得る場にしていくことです。これまでも装置・材料メーカーは、半導体の使い手が何を考え求めているのか聞きたかったのです。しかし、接点がありませんでした。

─どのような企画がありますか。

中村氏 新しいコンセプトを最も端的に具現化しているのが、世界のSEMICONの中でも初めての試みである特別展「World of IoT」です。身の回りから社会の見えにくいところまで、IoTをキーワードとした新しいシステムやサービスが生まれつつあります。そこでは、1兆個のセンサーを社会にばらまくコンセプトのプロジェクトがあるように、使われる半導体の量も莫大になります。World of IoTでは、機器メーカーやシステム・メーカー、そしてデバイス・メーカーが集まり、今そして将来のIoT関連技術を披露します。こうした展示を通じて、新しいシステムやサービスを生み出すために、半導体に何が求められているのか、知ることができます。

 日本の半導体産業は、製造技術、材料技術、ものづくりの環境の全てで世界をリードしています。それにもかかわらず、重苦しい閉塞感に包まれ、中国、韓国、台湾など元気な東アジアの国や地域に押されている状況です。World of IoTは、日本の半導体産業が今最も必要としている、日本の強みを生かせる新市場を創出・育成していくためのキッカケとなる場なのです。