経済産業省の石川氏
経済産業省の石川氏
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新産業創出への“3本柱”
新産業創出への“3本柱”
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 2014年10月29~31日に開催された「次世代ヘルスケア展」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)で、経済産業省 大臣官房審議官(商務情報政策局・クリエイティブ産業担当)の石川正樹氏が、公的保険外の健康・予防サービスの振興に関して講演した。具体的には、2014年6月に取りまとめた具体的な施策について、成功事例を交えて説明した。

 政府の成長戦略では、公的保険外の健康・予防サービスの育成を通じて、「国民の健康増進」「医療費の適正化」「新しいサービス産業創出」の“一石三鳥”を達成するための方針が示されている。2013年12月には「次世代ヘルスケア産業協議会」が設置され、事業環境WG、健康投資WG、品質評価WGの3つのWGで産業創出のための具体的方策が検討されてきた。石川氏は「2014年6月に取りまとめた中間報告では、事業環境の整備、健康投資の促進、サービス品質の見える化を3本柱として、需要創出と供給拡大に向けた施策が示された」と述べた。

 まず、第1の柱である事業環境の整備についての施策は、(1)グレーゾーン解消制度の活用、(2)ファンドを通じたリスクマネー供給、(3)健康と地域資源による新産業創出、などである。(1)の産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度は、新事業に規制の適用があるかどうかを関係省庁に確認できる制度で、2014年3月末に策定された新事業活動ガイドラインに基づいて判断される。この制度を活用して、コナミスポーツ&ライフが提供するスポーツクラブにおける運動指導、健康ライフコンパスの自己採血による簡易検査、日本医療データセンターのレセプト・健診データ分析による受診勧奨サービスなど、新たな健康・予防サービスで既に6件の活用実績があるという。

 (2)のファンドを通じたリスクマネー供給については、銀行などの融資を受けにくいサービス産業において、地域経済活性化支援機構(REVIC)が2014年9月に設置した「地域ヘルスケア産業支援ファンド」を通じてリスクマネーと経営人材を供給していこうという施策。千葉・埼玉地域の高齢者に対してリハビリ介護予防サービスを提供するYOUなど、具体的な出資事例が既にあると紹介した。

 (3)の健康と地域資源による新産業創出に関しては、健康・予防と観光、あるいは健康・予防と地域の農産品や海産物など食を結びつけて、地域の雇用を含む新産業創出を支援していく施策。医療と農商工連携による北海道の取り組み、山形県上山市や長野県松本市のヘルス・ツーリズムなど、自治体の取り組みがあるという。