社会福祉法人 横浜市福祉サービス協会 新鶴見ホーム事務長 伊藤尚子氏
社会福祉法人 横浜市福祉サービス協会 新鶴見ホーム事務長 伊藤尚子氏
[画像のクリックで拡大表示]
社会福祉法人 秀峰会 南永田桜樹の森 施設事業部 副事業部長 施設長 竹山大二郎氏
社会福祉法人 秀峰会 南永田桜樹の森 施設事業部 副事業部長 施設長 竹山大二郎氏
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年10月29~31日に開催された「次世代ヘルスケア展」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)では、「介護ロボットの導入により、見えてきた未来」と題し、高齢者福祉施設管理者2名が登壇。実際に介護ロボットを導入した経験を基に、施設側の視点で意見を述べた。

 最初に登壇したのは、社会福祉法人 横浜市福祉サービス協会 新鶴見ホーム事務長の伊藤尚子氏。同ホームで導入した介護ロボット「パルロ(PALRO)」についての体験談を語った。

 パルロは富士ソフトが開発した小型のコミュニケーションロボット。会話や歩行、ダンスなどはもとより、会話のパターンを蓄積して解析する人工知能、常時ネット接続による遠隔操作やデバイス間の連携機能などを備えている。例えばネット上の情報を取り入れて、クイズを出すこともできる。

 一年前に導入した当初はその万能性から、職員と同じようにコミュニケーションを担い、人手不足解消に貢献してくれるのではとの期待があったが、聞き取り不足による会話の不成立、“間”を無視した一方的な会話といった問題が多々発生。ほどなくして職員がパルロの世話をするような状況に陥ってしまったという。

 状況を打開するため、伊藤氏は事務室のカウンターにパルロを置くことを提案。あえて機能を制限し、出迎えのマスコットとして利用し始めたところ、目の不自由な気難しい入居者が毎日パルロのもとにやってきては、積極的にコミュニケーションを取るようになったという。このユースケースを通じ、徐々にパルロの使い方を体得したと伊藤氏は話す。「慣れるまでに時間はかかったが、上手く活用すれば、入居者との関係がより深まるはず。パルロの導入は、今後の介護ロボット導入に向けて職員の意識を変えるきっかけになった」(同氏)。