出展した24型モニター(左)。11型(右)も参考展示した。“どぎつさ”の薄い自然な3D画像がウリだ。
出展した24型モニター(左)。11型(右)も参考展示した。“どぎつさ”の薄い自然な3D画像がウリだ。
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 産業・医療分野向け機器やソフトウエアを手掛けるエフエーシステムエンジニアリング(FASE)は、裸眼での3次元(3D)表示に対応する医療用モニターを開発した。メディカル・イメージング・コンソーシアムの協力の下で2014年9月に信州大学医学部附属病院に納入。脳神経外科手術での臨床応用が始まった。「CEATEC JAPAN 2014」(2014年10月7~11日、幕張メッセ)に出展した。

 外科手術領域では眼鏡方式の3Dモニターが普及しつつある。ただし、眼鏡をかけることで医師が感じるストレスや、手術室の細菌源となることが問題視されており、「裸眼式が強く求められている」(FASE 代表取締役で東京営業所 所長の中村康則氏)。

 今回のモニターでは、2眼式の3D対応カメラで取得した映像を3D表示する。24型で解像度はHD(1980×1080画素)、視野角は85度。モアレやジャンピングポイント、画面の暗さや視野角の狭さといった、従来の裸眼3Dモニターの課題を克服した。表示技術の詳細は明らかにしていないが、裸眼3D技術としてよく知られるレンチキュラー方式とは別の原理に基づく。ステレオを多視差に変換するソフトウエア、および6つのバリアで視差を作り出すフィルムで実現したという。

 信州大学病院は、内視鏡を併用する脳神経外科手術にこのモニターを導入。「奥行き情報を把握できる点で、脳腫瘍や脳卒中の手術に有効との評価を得た」(中村氏)。

 価格は150万円。信州大学病院以外にも「いくつかの医療機関への導入が決まっている」(同氏)。手術支援ロボット「da Vinci」を用いる手術にも採用される予定という。