乗り捨て自由のカーシェアリングサービスが欧州や北米を中心に広まっている。ドイツDaimler社の「car2go」がそれだ。乗り捨て自由であることに加えて、1分単位の課金方式、スマートフォンのアプリによる車両の探索・予約といった斬新な取り組みが好評を博し、利用者が急速に増えている。

 car2goを実際に運営するのは、Daimler社の子会社でモビリティーサービス事業を一手に担っているmoovel社である。2014年9月11~12日に開催されたセミナー「BEYOND 2020 クルマが拓く未来」(主催:日経Automotive Technology)では、moovel社Head of Business Development Asia-PacificのRainer Becker氏がこれまでの成功の秘訣やアジア市場での展開について語った。

moovel社Head of Business Development Asia-PacificのRainer Becker氏

補助金は受けていない

 car2goの特徴は、前述の通り、乗り捨て自由ということである。駐車が許可されている路上やコインパーキングなどであれば、ユーザーは車両をどこで乗り捨ててもよい。一般的なカーシェアリングサービスでは、車両の乗降場所(ステーション)が決まっており、車両を借りたのと同じステーションに返却しなければならないことが多い。つまり、car2goでは「行きか帰りの片道だけクルマを使いたい」「目的地や自宅のすぐ近くで降りたい」といった多様なニーズに応えられるのだ。

 料金に関しても、car2goは乗車時間に応じた1分単位の課金方式という点が受けている。最初に会員登録する際の登録料は発生するものの、年会費や月額基本料などはないので、「クルマに乗らなければ料金は一切掛からない」(Becker氏)。燃料代(エンジン車の場合はガソリン・軽油代、電気自動車の場合は電気代)や車両を乗り捨てる際の駐車料金は、すべてmoovel社が負担している。日本の一般的なカーシェアリングサービスの場合、乗車時間に応じた課金はだいたい10~15分単位で、さらに年会費や月額基本料、燃料代などが掛かることも少なくない。